フリーエンジニアとして活躍する先に、どのようなキャリアを思い描くのかはとても重要です。いずれも高額報酬を約束されているとも言われますが、とことんまで自分の専門領域を高めて自分にしかないスキルと知識を武器とするスペシャリストを目指す人がいる一方で、大抵はプロジェクトマネジャーが現実的な選択のようです。年齢的にも30歳から35歳ぐらいといえば、社内ではそろそろマネジメントへのシフトを意識しなければならない頃合いです。
もちろんスペシャリストであっても転職したりフリーエンジニアになる場合には、マネジメント能力はある程度必須です。クライアントとの連絡やプロのスタッフ同士のコミュニケーションを円滑に図るのは、スペシャリストとて当然のことです。
その一方でプロジェクトマネジャーの場合には、プロジェクト全体の責任を担うとともに、それぞれの調整役あるいは橋渡し役として高いコミュニケーション能力を求められます。もちろんそれまでにITエンジニアとしての、一定レベル以上のスキルや知識があることはいうまでもありませんが、その上でクライアントの要望を的確に聞き取って過不足のない基本設計を行い、それをクライアントにわかりやすく説明できなければなりません。クライアントの納得を得られれば、次には実際の開発プロジェクトを指揮して、スケジュール通りに全行程が滞りなく進むようにスタッフとのコミュニケーションをスムーズに行う必要があります。その際には自分の得意分野だけではなく、データベースやネットワークなど個々のスタッフとの会話に不自由のないだけの知識も必要になります。もっともクライアントには金融系や生産、物流など、その業界に詳しくなければシステム設計が難しい場合も少なくありません。従って自らのキャリアにどのような業界がマッチするかという点もよく考えながら、例えばSAPやOracleの導入経験が有るのであれば、会計系ファームのコンサルタントといったキャリアを加えるのも選択肢の一つとなり得ます。
更に世界がますますネットワークで密に結ばれる中で、英語でのコミュニケーション能力は大変魅力的です。外資系であれ日本の海外支店勤務であれ、ビジネスシーンでの英語に慣れているキャリアがあればなおのこと、そのような実務経験には乏しくてもTOEIC700点から800点の実力があれば、転職にも有利になるでしょう。エンジニアであっても、一昔前のように専門用語を連発していても我慢してもらえる時代ではなくなっています。ましてプロジェクトマネジャーを目指すのであれば、英語・日本語を問わず一般人であるユーザーやクライアントに簡潔でわかりやすい説明をして、理解を求める能力が必須になっているのです。